【宝石】元宝石店ベテラン店長が教える宝石の加工方法！

2023年3月24日 [スタッフブログ][新着情報]

自然が生み出した天然石の色や輝きを完全に引き出すため、一部の宝石には人間の手による加工（カットや研磨）が行われています。

さらに宝石の種類によってはそれ以外にその色や外観を変える為様々な人的手段が加えられることがあります。

それはエンハンスメントやトリートメントと言う加工で相当以前より行われてきました。原石に様々な加工・処理を施して、ジュエリーとして美しい輝きを持つ宝石に変身させるわけです。

本日はその加工方法を大きく分けて２つ紹介致しますので、最後までお読みいただければ幸いです。

宝石の加工方法とは
エンハンスメントとは
トリートメントとは
鑑別書の記載について
最後に

宝石の加工方法とは

先述の様に、宝石によっては色や外観を変える為の人的手段が様々あります。しかしたとえ同じ方法で手を加えたとしても宝石の種類ごとに、目的・恒久性・価格などに与える影響が異なり、その結果商取引における容認度に大きな違いがあります。

トリートメントについては商取引においても早い時期に明確に区別されて取り扱われてきましたが、エンハンスメントは習慣上消費者に対する情報提供は行われていませんでした。

しかし現在ではエンハンスメントの情報開示は世界的なもので、日本では1966年から施されています。

エンハンスメントとは

別名『改良』と言われます。これは基本的に宝石の持つ潜在的な美しさを引き出すことを目的とした手段です。

その為、宝石に潜在的因子が備わっていない限りエンハンスメントが行われても、色や外観に効果が見られません。

また同じ種類の天然石でも本来の美しさにはそれぞれに差があって、同じ条件の下でエンハンスメントされてもその潜在的な因子に応じた改良効果が表れます。そのような理由で以前から広く容認されてきました。

一般に行われているエンハンスメントの例

≪加熱≫

◆余分な色味を取り除く目的としては

代表的な宝石として　ルビー、アクアマリン、タンザナイト

◆色を明るくする目的としては

代表的な宝石として　トルマリン（その中でもブルーとグリーン）、サファイア（その中でもブルー）

◆色を濃くする目的としては

代表的な宝石として　サファイア（その中でもブルーとゴールデン）

◆色調を変える目的としては

代表的な宝石として　シトリン、ピンクトパーズ

≪含浸≫

◆透明度の改良を目的としては（無色オイル、樹脂などによる）

代表的な宝石として　エメラルド

◆光沢の改良（無色ワックスなどによる）

代表的な宝石としては　ジェダイト（硬玉の翡翠）　※軟玉のものはネフライトと言います。

≪充填≫

◆無色材で表面の小孔を充填する目的としては

代表的な宝石として珊瑚

トリートメントとは

その宝石が持つ本来の性質に関係なく人工的に色や外観を全く変えてしまいます。別名『改変』と言われます。

その為改変後の結果は、その宝石本来の資質ではなく技術のレベルで大きく左右され、中には経年変化を生じる物もあります。

トリートメントの例

≪着色（染色）≫

◆無色石や白色石を色素により各色に着色する目的としては

代表的な宝石として　オパール、ジェダイト、珊瑚、真珠、トルコ石、ラピスラズリなど

≪コーティング（ペインティング）≫

◆見かけのカラーグレードをアップさせる目的としては

代表的な宝石としてダイヤモンド

◆ピンク色に見せかける目的としては

代表的な宝石として　ダイヤモンド

◆濃色に見せかける目的としては

代表的な宝石として　エメラルド

≪表面拡散≫

◆無色石を拡散させる目的としては

代表的な宝石として　サファイア、ルビー

≪放射線照射≫

◆無色石の着色または色の改変を目的としては

代表的な宝石としてダイヤモンド、真珠、ベリル、トパーズ、トルマリン（その中でもレッドとピンク）

≪含浸≫

◆有色材により色を改変する目的としては

代表的な宝石として　エメラルド、ルビー、サファイア、オパールなど

◆無色材により透明度や脆性を改変させる目的としては

代表的な宝石として　ジェダイト、トルコ石

≪充填≫

◆表面の孔やへこみの充填を目的としては

代表的な宝石としてルビー・サファイア・エメラルド

≪加熱≫

◆色を改変させる目的としては

代表的な宝石としてオパール（白色を黒変）、ジルコン（ブルー・カラレス）

鑑別書の記載について

鑑別書とは宝飾用の素材において科学的検査を行った上でその生成起源及び種類を決定したものです。そういった観点から品質的な評価は一切行われません。鑑別書は必ず添付しなければいけないわけではなく、諸外国では限られた高級宝石だけに発行するのが普通です。

表記の内容については鑑別書の発行者の名称と所在地が示されます。また日本では写真の貼付、宝石のカット、サイズ、重さ、色相、透明度、外観特徴などが表記されます。

最後に

質屋かんてい局会津若松店では宝石店に勤務していたものが多数在籍し、宝石査定に関して、より精通しております。貴金属の価格のみならず宝石自体の価値を鑑みて、お客様にご納得と、お喜び頂ける査定金額を出来るNO.1を目指しております。宝石、貴金属の査定がございましたら、ぜひ質屋かんてい局会津若松店においで下さい。