画像で見るR番とD番の違い
	
		
	
		
 
	
		
 
	
		今回私が用意したものは2つ。
	
		1988年頃に製造されたR番のものと、その17年後-2005年に製造されたD番のもの。
	
		この2つは実際に目で見て分かる違いにどんなものがあるのでしょうか?
	
		順番に確認していきます。
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		①フラッシュフィット中央部分の形状変更
	
		フラッシュフィットとはROLEXが用いている、時計のケースとブレスレットを繋ぐパーツの名称です。
	
		確認してみるとR番とD番でその形状が違います。
	
		
	
		フラッシュフィットにはR番のようにブレスレットと繋がっている部分が分解できる『分離型』と、D番のように分かれずにひと繋がりになっている『一体型』があります。
	
		ちょっとした形状の違いですが、この少しの違いでブレスレットの耐久性などが変わってくるというので驚きです。
	
		具体的には一体型は分離型と比べると耐久性や強度が優れています。ですが反面、フラッシュフィットの部分が壊れてしまった場合は、ブレスレットを一式丸ごと交換しなくてはならないというデメリットがあります。この点において分離型はフラッシュフィットだけ交換することができるので、修理をした際、金銭的な負担が一体型より抑えられるメリットがあるのです。
	
		
	
		そのためロレックスは今までに分離型と一体型のフラッシュフィットを交互に採用して、どちらがいいのか試行錯誤を重ねてきました。
	
		そして2000年頃に素材として無垢材を用いたところ、耐久性と強度が格段に良くなり破損することがほぼなくなったため、以降は無垢材で製造された一体型が使用されるようになりました。
	
		 
	
		視点を変えて、2つのフラッシュフィットを横側から見てみます。
	
		
	
		この角度から見るとD番のフラッシュフィットはR番のものよりも厚くできているのが分かります。
	
		耐久性や強度が上がり、頑丈になったというのも納得です。
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		②ブレスレット番号の場所とフラッシュフィット番号の有無
	
		フラッシュフィットの厚みを確認している時に、もう一つ違いを見つけました。
	
		皆さんももうお気づきですよね?D番の方はフラッシュフィットとケースがジョイントする部分の内側に英数字の刻印があります。
	
		
	
		これはブレスレット番号というもので、「93250」という数字が、このブレスレットがサブマリーナの16610用のもの※1であることを示しています。
	
		ではフラッシュフィットの内側にあるようには見えないR番のブレス番号はどこにあるのかというと、フラッシュフィットの隣にあるコマの裏側にありました。小さく刻印されている「93150」という数字がR番のブレスレット番号です。
	
		
	
		数字の違いは、フラッシュフィットの形状の変更に合わせて変更しているのかもしれませんね。
	
		 
	
		そしてR番のブレスレット番号を確認すると、自然と気になるのがフラッシュフィットの裏側にある「501B」という刻印。
	
		こちらはフラッシュフィット番号といって、ブレスレット番号と同じようにこのフラッシュフィットが16610用のものであることを示しています。
	
		このフラッシュフィット番号は分離型であるからこそ付けられている刻印ですので、一体型のD番の方にはありません。
	
		※1 省略させていただきましたが、このブレスレット番号とフラッシュフィット番号は14060(M)にも使われています。
	
		 
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		③クラスプコードの違い
	
		クラスプとはブレスレットの留め金のことを意味します。一般的には「バックル」と言った方が聞き馴染みがあり、どのパーツのことを言っているのか想像がしやすいかもしれませんね。
	
		クラスプコードとはこのクラスプに刻印されている、製造年を示すコードのことです。
	
		クラスプコードがあるのは金具の裏側、ROLEXの王冠マークなどが彫られているプレートの右上部分に刻印されています。
	
		
	
		画像は上の「M2」の方がR番のもので、下の「MA7」の方がD番のものです。
	
		「M2」はこのブレスレットが1988年に製造されたものであることを、「MA7」は2005年に製造されたものであることを示しています。
	
		これによって判明するのは、このブレスレットがケース(時計本体)と同じ年代に製造されたオリジナルのパーツであるということです。
	
		中古市場にあるもの、特に製造から年月の経ったヴィンテージ品の場合、修理などによってケースとブレスレットで製造年がチグハグになってしまっていることがあります。
	
		人気のヴィンテージアイテムは全てのパーツが当時のもので揃っている方が高く評価されますので、ブレスレットだけが新しいものになっていたりすると、残念ながら価値が下がってしまうようです。
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		④ラグの横穴の有無
	
		
	
		横穴とは、ブレスレットとケースを繋いでいるバネ棒という芯を取り外すために空いている小さな穴のことです。
	
		ケースを横から見た時にフラッシュフィットがある辺りに空いている小さな穴がそれになります。
	
		横穴はモデルによって年代はそれぞれ異なるのですが、フラッシュフィットが2000年に無垢材の一体型へと変更されていったのとだいたい同じ頃に無くなっていきました。そのため手元のR番の方には横穴がありますが、D番の方にはありません。
	
		なお中古市場での希少価値は穴のない方が上になります。
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		⑤文字盤に使用されている夜光塗料の種類と表記
	
		ロレックスのスポーツモデルには暗所でも時間を確認できるよう、針やインデックスに夜光塗料が塗られています。
	
		この夜光塗料も長い歴史の中でより良いものへと改良されていきました。
	
		 
	
		ロレックスが使用していた夜光塗料で一番古いものが「トリチウム」です。
	
		トリチウムは主に1990年代後半ごろまで使用されていた、自然発光する放射性物質の塗料です。
	
		放射性と聞くと危険なもののように思ってしまいますが、その放射量はとても低いものだったため当時普及していました。
	
		ロレックスの時計にはトリチウムを使用している証として、文字盤の6時の位置に「T」の文字や放射量が25マイクロキュリー以下であることを示す「T<25」という文字が記されています。
	
		1988年に製造されている手元のR番には、「SWISS-T<25」という表記がありました。
	
		
	
		 
	
		実はトリチウムの発光には経年によって半減期と呼ばれる光が弱くなってしまう変化があり、トリチウムの場合は約12年で変色し、ほとんど光らなくなってしまいます。
	
		現にヴィンテージのもので夜光塗料にトリチウムが使用されているものの多くは、既に発光しなくなってしまっています。
	
		 
	
		トリチウムの次に使用されるようになったのは「スーパールミノバ」という夜光塗料です。
	
		スーパールミノバは1993年に根本特殊化学株式会社が開発した、光を蓄えることができる蓄光塗料で、その大きな特徴の一つが放射性物質を含まないという点です。
	
		これにより入手から廃棄までの規制がなくなり、取り扱いがしやすくなりました。加えて経年劣化がほとんどないことや、それまでの夜光塗料よりも明るさが約10倍あることなど、大きなメリットがあったため、ロレックスでも1998年頃にトリチウムに変わって採用され、その後より長時間発光する「クロマライト」が採用されるようになった2007年頃まで使用されていました。
	
		放射性がなくなったので、文字盤の表記は「SWISS MADE」や「SWISS」といったシンプルなものに変更されました。
	
		なお2005年に製造されている手元のD番は「SWISS MADE」と表記されていました。
	
		
	
		 
	
		そしてこちらは暗がりで2つを並べて撮影した画像です。
	
	
		視認性の差は歴然。
	
		右側のD番のインデックスが蛍光色の緑色に発光しているのに対し、左側のR番のインデックスはほとんど発光していません。自然発光の力がもうほぼ無いのでしょう。
	
		⇧トップに戻る
	
	
		 
	
	
		⑥風防の透かし王冠マークの有無
	
		既にご存知の方も多いと思いますが、ロレックスの風防(文字盤のガラス)には王冠の透かしマークが入っているものがあります。
	
		ロレックスは人気ハイブランドであるがために、偽物を造る悪い人たちが悲しいことに多くいます。それを防止するために1999年から施されるようになったのが、この透かし加工です。
	
		
	
		王冠の透かしマークは風防の6時位置に彫られています。
	
		ただこれはあくまでも偽造防止のために付けられたものなので、時計自体のデザインを邪魔しないよう肉眼ではほとんど見えないような形で印されています。
	
		ではどうやったらそのマークを確認できるのかというと、専用の高倍率ルーペを使って見る角度や光の当たり具合を工夫することでやっと見つけることができます。
	
		ベテランの査定員でも確認するのが難しいものなので、この透かしマークが肉眼で難なく確認できる場合は偽物の可能性がとても高い、ということになります。
	
		 
	
		ロレックスの透かしマークが初めて施されたのは1999年で、ヨットマスター・ロレジウムだけがその対象でした。
	
		それが徐々に他のモデルにも広がり、翌年2000年には新型デイトナに、2001年にはCal.3130が搭載されているサブマリーナ・ノンデイトやエクスプローラーⅠ、エアキングといった複数のモデルに採用され、2003年にはほとんど全てのスポーツモデルに透かしマークが刻まれました。
	
		そのためモデルによって時期は変わりますが、1999年よりも前に製造された時計には透かしマークが無いということになります。
	
		手元にある2つの場合、1988年製造のR番には無く、2005年製造のD番には透かしマークがありました。
	
		⇧トップに戻る