こんにちは!
質屋かんてい局山形北店です。
「1年4ヶ月ぶりに日経平均1万7500円割れ」
「NY市場2000ドル超えの下落」
といったニュースが飛び交っていますね。
そんな中、質屋かんてい局山形北店では最近、金-GOLD-の査定をさせて頂くことが以前よりも格段に増えました。
記事の下の方では世界情勢も含めたブログ担当スタッフの見解もお話ししますが、こうした不安定な世の中だからこそお客様にはマクロな視点で情報を取捨選択して冷静な判断をしていただきたく思います。
それでは、本日ご紹介するお品物はコチラ!
K18ジュエリーと喜平の金ネックレス
正直に言います!
「金相場が暴騰」
「金相場6000円超え!」
「金が高いので売りましょう」
こんな文句聞き飽きてますよね!?
もう、なんか、
「知ってるよ!聞いたよ!」
こんな感じですよね?
わかります。
当店にいらっしゃるお客様も金相場が高いことは重々承知の上でご来店されます。
お客様が知りたいのはそんなことではないはずです。
ズバリ
「今後も上がるの?持ってた方がいいの?なんで金が上がってるの?」
「なんで金が下がったの!?」
こういったことではないでしょうか?
個人的見解も含む内容で良ければ僕の知ってる範囲内で解説したいと思います。
なるべく簡潔にご紹介するつもりですので構えずに気楽にお読みくださいね♪
歴史を振り返る-金相場と株式相場、原油価格の相関-
まずコチラをご覧ください。
1980年に国内金価格があり得ないほどの高騰をしていますね。
この時に何があったのかご存知でしょうか?
そう、「オイルショック」です!
と言いたいところですが、実は様々な要因が重なってこの金高が演出されました。
そもそもオイルショック?って何?という方もいらっしゃると思うのでそこも含めて簡潔にご紹介したいと思います。
①1970年代までは1ドル=360円=金0.8gで固定だった
②金は無国籍通過という認識
③オイル・ショックによる原油高がもたらした影響
④戦争・インフレ・円安の3要素が重なって金が高騰した
①1970年代までは1ドル-360円=金0.8gで固定だった
1944年〜1971年まで世界は固定相場制という制度で動いていました。
これは1ドル=360円、金1トロイオンス=35ドル(1トロイオンスは金属の重さの単位であり、約31g)の相場で常に交換できるよーという制度です。
でも金と交換できるのはドルだけだよ!金を買いたいなら一回ドルに両替してね!という条件付きだったのです!!
今(2020.3.14)は大体1ドル=104円〜110円、1トロイオンス=1550ドル〜1700ドルくらい位の相場なので考えられませんね。
ちなみにこの時、アメリカはドルと金を大量に保有していたので制度自体に問題はなかったのです…が…
状況が変わりました。
1945年に終戦した第二次世界大戦以降アメリカは様々な戦争に参加することになりヨーロッパを中心に他国からの軍事関係品などの輸入が大幅拡大しました。
輸入が拡大=つまりアメリカのドルが大量に他国に放出されたわけです。
するとどうなるか…
アメリカの保有している金の量よりも他国が持つドルの総量の方が多くなってしまい、ついに「俺の持ってるドルをお前の金に交換してくれ」という他国からの要請に応えられなくなってしまったのです。
そこで当時のアメリカ大統領であるニクソン大統領が
「ドルと金の交換保証ナーシ!これからはどこの国も自由に金やりとりしていいよ!人気がある国の通貨は高くなるね!」
という声明を出して、今までドルに頼るしかなかった多数の国で
「ならわざわざドルに換えなくて良くなったんじゃん」
とドルの価値が暴落しました。これがニクソン・ショックという事件です。(めっちゃハショリましたが…)
このニクソン・ショックにより、現在の変動相場制に多くの国が移行して、毎日為替や金相場が変わるようになりました。
②金は無国籍通貨という認識
地球上に存在する数に上限がある金(有限資産と言います)はどこの国に持って行っても適正な価値がつく資産となりました。
固定相場制の時代にはドルの価値を保証していたのは金でしたが、ニクソン・ショックによって交換保証がなくなった現代、国の通貨というものは実は国の不安定な保証によって成り立っているのです。僕たちが普段使っている一万円札や五千円札は実はただの紙ですよね?その紙自体に一万円や五千円という価値はありません。国は刷ろうと思えば一万円札をたくさん印刷できるのです。
でも万が一そんなことをすると月々の給料が20万円から1500万円になったりします。(うわーめっちゃいいじゃん!と思ったあなたはヤバいです。)
その代わりに120円で買ってた缶ジュースが12000円になったり、500円で食べてたランチが50000円になったりしちゃいます。流通するお金の量が増えるということはお金の価値が下がって物の価値が高くなるということですから、あまり良いことではないですよね。
物の価値が上がって貨幣の価値が下がる状態をインフレと言います。
ところで、これは金-GOLD-のお話しです。無国籍通貨の金はそんな時どうなるでしょう?
例えばここで金-GOLD-を無国籍通貨と考えるとこうなります。
( 現 状 )ランチ=金0.14g=500円
(インフレ時)ランチ=金0.14g=50000円
金の価値は貨幣の価値と一緒に下がるわけではないのです。
むしろ貨幣の価値が下がると相対的に金の価値は上がります。つまり国の信用力が下がると金の価値は上がるわけです。
③オイル・ショックによる原油高がもたらした影響
詳細は省きますが戦争関係のいざこざで石油産油国が怒って原油の価格を上げたのがオイル・ショックです。
「はぁ?そんなこと言うならうちでしか作れない石油の値段上げっかんな!怒ったかんな?橋本か〜んな!」ってことです。
するとどうなるか…
当時の日本は「ものづくり大国」つまり巨大輸出国です。資源が国内で採れない日本は安く外国から資源を輸入して、製品化して国外に輸出することで生計を立てていました。
当時の輸入方法はほとんどが海路、つまり船に頼る物でした。
船の原動力は石油です。また輸入する資材にも多数石油が使われています。
つまり輸入する材料(資源価格)の高騰により日本の稼ぐ力は弱くなって大幅な円安(円の価値がドルに比べて弱くなる)に陥ります。
コストである資源価格が高くなったので当然販売する製品の価格が上がり、貨幣の価値が下がるためインフレが進行しました。
④戦争・インフレ・円安の3要素が重なって金が高騰した
以上の視点から1980年の金高騰の背景要因は以下にまとめられます。
①戦争により固定相場制が崩壊、ドルの価値が下がり相対的に金の価値が上がった
②金の価値は国の貨幣価値が下がると相対的に上がる
③オイル・ショックによる円安&インフレで金の価値が上がった
のトリプルパンチで国内金価格が高騰したわけですね。
ちなみにこの時、アメリカでの金価格(国際金価格)は日本国内で上昇したほど高騰しなかったのは今後の金相場を見る上でも重要だと思っています。
最後に現在の金相場に関して一気に説明しちゃいますね!
2020年の金相場アレコレ
1970年代に比べて現代の金相場は変動相場制が染み付いているのでわかりやすいと思います!
現代の金相場を見る上で重要な点は
①投資相場による需給〜機関投資家の考え〜
②株式相場の動向
③アメリカ大統領選挙
の3点です!1970年代より簡単ですのでさくっと読んじゃいましょう!
①投資相場による需給〜機関投資家の考え〜
厳密に言うとちょっと違うのですが、世界中にあるお金は一定だと考えてください。
そうですね、例えば地球上にあるお金の総量が9500兆円だとします。
世の中の仕事の一つに「機関投資家」と言う仕事があります。
彼らは政府や銀行のお金を使って投資によってお金を稼ぐことを仕事として依頼されている人物と考えてもらって構いません。
投資の世界ではその莫大な運用資金が動くことによって相場が動くことから、自身の動きで海に津波を立てることさえできる「クジラ」と呼ばれています。
「クジラ」達は仕事なので常に投資をして利益を出し続けなければいけません。
株式で利益を出せるときは株式、債権で利益を出せるときは債権、金で利益を出せるときは金に莫大な資産を動かします。
100万円しかなければ1%の利益は1万円にしかなりませんが、100兆円の資産で1%の利益をあげれば1兆円。彼らはその莫大な資産で少しの値動きでも利益を出そうとするのです。
②株式相場の動向
2012年のアベノミクス政策から日本の株価は好転して、2018年の10月にはバブル期以来の日経平均最高値24000円まで上り詰めました。
この頃から機関投資家は徐々に金投資を始めていたようです。
株式から徐々に資産を金に移す機関投資家と好転した株式市場を背景に日本株式に資金を投じる一般投資家によって2019年は株高・金高という相場が作り上げられました。
しかし、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題が徐々に強さを増していき株式投資から金投資へ全体がシフトしていったのが2019年の後半です。
そして2020年に入り、そろそろ波風も落ち着いてきたところで株式に資産が戻る頃を見計らってかのように、今世間を騒がしているコロナウィルスが世界中で取り上げられます。
コロナウィルスは運悪く中国の年末年始の長期休み「春節」にぶつかります。
中国からのインバウンドを期待していた企業は大打撃を受けるだろうとの予測で機関投資家達は戻しかけていた株式から徐々に金に乗り換えてきました。
価格変動の初動はびっくりして値幅が大きくブレるというのが常ですので、冷静さを取り戻せば相場は安定してくるはずでした。
ここで第一次の株価暴落と金の高騰が演出されます。
直近の話題では3月3日にアメリカの中央銀行であるFRB(日本でいうところの日銀です、)が緊急的に政策金利を0.5%下げる方針を打ち出したのがK.Oパンチでした。
※ここでは割愛しますがFRBは景気が良くなりそうなら利上げ、景気が悪くなりそうなら利下げをすると覚えてください。
しかも2018年には利上げを0.25%ずつ段階的にしていたのにここに来て倍の0.5%という大幅利下げをしたのです。
このせいで株式市場は大混乱!
連日NY株式1000$の下落、日経平均暴落、なんて騒がれるようになりました。
あれ?待ってよ!株が下がるなら金は上がるはずでしょ!なんで下がってんのよ!
という声が聞こえますね。
今年に入ってからの2ヶ月で金はあまりにも上がりすぎました。
そして今回の株式の急な大幅下落によってわずかにでも株式にお金を入れていた機関投資家の財布が痛んだのです。
でも彼らは仕事です。株式でマイナスを出しているのにそのまま金を持ってて回復するまで待つなんてできません。仕事には期日がありますから、結果報告するまでに被害を最小限に抑えないといけないのです。
そこで痛んだ財布の補填をするためにある程度値段が上がった金-GOLD-を一時手放して現金化しているようです。
そして機関投資家が金-GOLD-を手放して価格が落ちたところに現代の相場を操る大きな存在HFT(High Frequency Tradeの略称で日本語化すると『コンピュータを使った金融市場での高速売買』です。)がついていきます。
HFTは人間の感情を挟まないシステム化された取引ですのでこの価格になったら売り(買い)の注文をずっとだすという命令をされています。
急に下落した金-GOLD-によってHFTの下限価格を割り込んだせいで機械による売りが断続的に出されているので金価格も大きく下落している、というわけですね
ここまでが僕が考える現状の株式と金が同時に下落した背景です。
非常に長丁場でしたが、一人でも読者の方がついてきてくれていることを信じて今後の考えを書きます。
あくまでも個人的な見解なので投資判断はご自身の考えでお願いいたします。
③アメリカ大統領選挙
コロナ騒ぎに隠れていますが今、投資環境の不安要素はドイツ銀行の破綻懸念、日銀が抱える3兆円程の保有ETFの含み損、大幅な原油安…と様々あります。
ありますが、注目点は今年11月に控えたアメリカ大統領選挙にあると考えます。
現在アメリカの大統領選挙には
①ドナルド・トランプ氏
②バーニー・サンダース氏
③ジョー・バイデン氏
④トゥルシー・ギャバード氏
(⑤エリザベス・ウォーレン氏は3月5日に撤退表明しました。)
の4名が立候補しています。
彼らの細かい情報はここでは割愛しますが、候補者の中で唯一「株価低迷・金相場上昇」のシナリオが描けそうなウォーレン上院議員が撤退したことで誰が当選したとしても「株価上昇・金相場下落」のシナリオになりそうです。
また、11月の大統領選挙に向けて中間所得者層にアピールしたいトランプ大統領はコロナウィルスの騒ぎの渦中か後にでも株価を上げる政策をしそうです。
(この記事を執筆したのは3月13日ですが、13日夜間から14日未明にかけてトランプ大統領が何か言ってNY市場は2000ドル近い上げ幅だったようですね。)
「俺は株価を上げられただろう?俺が大統領になったらこれからも上がるぜ!」
というアピールですね。
なので総括するとこまごまとした不安要素で「株下落・金上昇」が時々あるにしても長いスパンで見れば今年後半にかけて「株上昇・金下落」のメインシナリオは揺るがないのでないかと考えています。
僕個人の見解としては多少下がり気味ではありますが、相場が高い位置を保っている間に金を現金化されることを悩んでいるのであれば現金化されるのが賢明かと思っています。
さらにはこんな賢いお客様もいらっしゃいます!
相場が高いうちに金-GOLD-を質に入れてしまうのです。
質屋かんてい局山形北店ではお預かりしてから3ヶ月お品物を取り戻すか手放すか考えられる期間があります。
ひとまず質入れで現金化してしまって2〜3ヶ月経ってから下がっていればそのまま流質してしまって、上がっていれば返済してお品物を取り戻した後で再度売るかどうか考えるそうです。
わからない相場だからこそ質預かりのサービスを保険のように使ってしまうわけですね。
こんなこと思いつくことがすごいと思いました…
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