時計は、小さな部品を繊細なバランスで組み立てた精密な機械です。
大切な腕時計を末永くお使いいただくための基礎知識をご紹介していきます。
クォーツと機械式時計の違い
◇クォーツ式時計◇
クォーツ(水晶)時計は、電池で動く時計です。
水晶に電気を流すと一定の振動を起こすと言う性質を活かし、秒針を作動させています。
電池を動力として、ICで水晶振動子の振動を制御しながら、正確な1秒をつくり、その信号をもとに針を動かします。
機械式と比べて精度が月差数秒と非常に安定しています。電池の寿命はメーカーやモデルにより異なりますが、約1~2年です。電池切れの場合は電池交換が必要です。
◇機械式時計◇
機械式時計は、ぜんまいで動いています。
巻き上げられたゼンマイがほどける力を利用して動きます。
腕時計の中でも人気が高いのが、自動巻き時計です!
ぜんまいの力を動力にして、てんぷの正確な振動により歯車をコントロールしながら針を動かします。ねじを巻くことで時計が動くという、味わいや温かみが感じられる歴史ある構造であり、エコロジーで自己完結型の駆動システムです。
◇手巻き式 リューズ操作でゼンマイを巻き上げる
◇自動巻き 装着時の腕の動きによって巻き上げる
2通りの方式があります。
※一般的な自動巻きの時計はリューズ操作による手巻きも可能です。
※機械式時計の精度は現行の新品・中古品で日差±5~20秒程度、中古やアンティークでは、個体差も御座いますが、日差30秒~2分前後の誤差が生じる場合もあります。
◇時計の分解清掃(O.H)について◇
腕時計などのオーバーホールは、分解・掃除し、点検やメンテナンスを行う作業です。
機械式やクォーツなどの腕時計は、長く使用することにより、部品の摩耗や潤滑油の劣化が起こります。オーバーホールを施すことで、故障などのアクシデントを事前に予防することができ、コンディションを良い状態に保つことができます。これにより、大切な腕時計の使用年数を延ばすことにもつながりますので、定期的なオーバーホールをお勧めします。
定期的なオーバーホールは機械を長持ちさせます。
※精度の誤差が許容範囲より大きくなり始めたり、リューズの巻上げがスムーズにいかなくなった場合、油切れと判断できます。目安として3~5年周期でのオーバーホールをオススメします。
機械式時計の取り扱いについて
機械式時計は繊細で複雑です。
その為、衝撃、磁気、温度、湿度変化等の使用状況や生活環境によっても影響を受けます。 定期的にメンテナンスを行い正しい知識と愛着をもってご使用頂ければ、長年にわたり時を刻み続けることができます。
◇衝撃に注意
機械式時計の精度は、約0.1mmに満たないひげゼンマイです。
ひげゼンマイを含めた時計内部のデリケートな部品の破損を防ぐ為、野球、テニス、ゴルフ等の腕に強い衝撃がかかるスポーツをする時は機械式時計をはずして下さい。
また、落下や激突による強い衝撃にもご注意下さい。
◇磁気に注意
クォーツ時計、機械式時計の両方に当てはまりますが、時計は金属で出来ています。
そのため磁気の影響を受けて正常に時間が合わなくなることがあります。
磁石そのものは勿論、磁気ブレス、ハンドバッグの留め具、オーディオをはじめとしたスピーカー類(テレビや、パソコン携帯電話などのスピーカーも含む)や、電子レンジ等の強い磁気を発する電化製品の近くには時計を置かないで下さい。
磁気製品から5cm以上離してください!
◇温度変化に注意
金属本来の特性で、温度により膨張縮小いたします。
暑いところではひげゼンマイが伸びて遅れがちになり、寒いところではひげゼンマイが縮んで進みがちになります。
手巻き式と自動巻き式
◇手巻き式時計
手巻きの時計をお使いになるときは、出来るだけ毎日同じ時間帯に、リューズをゆっくり回してゼンマイの巻上げを行います。巻き止まり(これ以上巻き上げられない状態)まで巻き上げましたら、逆方向に3回ほど回して下さい。秒針が動き出しますので時刻を合わせてお使い下さい。巻き上げは毎日同じ時間帯で行う方が、時計の精度が安定する傾向があります。
※ 手巻き式の時計には一部巻き止まりが無い製品があります。
◇自動巻き式時計
自動巻きの時計をお使いの場合でも、完全に停止した状態から時計をお使いになるときは、手巻き式時計と同様にリューズをゆっくり回してゼンマイの巻上げを行って下さい。秒針が動き出しますので時刻を合わせてお使い下さい。
以降は装着した腕の動きにより機械内部の巻上げ装置が駆動し巻き上げられます。 装着時間が短かったり、装着される方の運動量が極端に少ない場合、ゼンマイの巻上量不足、トルク不足により著しく精度が不安定になったり、止まってしまう場合がありますので、自動巻きの時計でもご使用前に30~40回ほど巻き上げてからお使いいただくと安定して作動します。作動時間(パワーリザーブ)はモデルや年代・個体によっても異なりますが、最大に巻き上がっている状態で平均的に約30~50時間の作動を続けます。
時計各部の名称
防水性能について
防水時計やダイバーズウォッチなどは、リューズがネジ込み式になっているものや、レバーにより固定することで防水性能をより高めているものがあります。用途に合わせ、3気圧・5気圧・10気圧・20気圧・30気圧または30M・50M・100M・200M・300Mなどの性能目安が設定されています。
◇非防水の時計は、汗や水のしずくがかかっただけでも浸水する恐れがございますので、十分ご注意下さい。
◇30M・50Mという表記は、3気圧・5気圧に相当します。
これら10気圧未満の防水性能では、時計本体の気密性が低く、時計内部に水分が浸入する可能性が高いので取り扱いには注意が必要ですが、手洗い、雨のしずく程度は耐えることが出来ます。
◇100Mという表記は、10気圧に相当します。
10気圧以上20気圧未満の防水性能では、時計本体が軽く水に浸かる程度は耐えることが出来ますが、水泳・ダイビングなどのマリンスポーツにはご使用いただけません。
◇200M・300Mという表記は、20気圧・30気圧に相当します。
20気圧以上の防水性能が備わっていればマリンスポーツ等に使用して問題ありませんが、リューズがしっかり締まっていない場合や、定期的にメンテナンスを行っていない場合は浸水することがありますのでご注意下さい。
※ 中古品、アンティーク品は経年劣化の為、新品当時の防水性能を備えていない時計もありますのでご使用の際はご注意下さい。
※ 防水時計でも、お風呂や温泉でのご使用は避けて下さい。内部の油が拡散し、機械及び文字盤、針などの劣化の原因となります。
最後に
いつも肌にふれている時計だから、清潔に保つことをおすすめのします。
日頃のお手入れが大切です。
時計を外したら、乾いた柔らかい布で、時計本体・バンドの水分や汗、汚れなどを拭き、風通しの良い場所に置きましょう。