11月下旬、宮城県仙台市にある宮城峡蒸留所を見学してきました。 今回は実際に蒸留所を見て感じたニッカウヰスキーの特徴についてお伝えいたします。
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ウイスキーとは
まず「ウイスキー」とは、大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料にして作られる蒸留酒の事です。
銅製の蒸留器(ポットスチル)で蒸留を繰り返しアルコールを濃縮することで揮発性の高い香り成分も抽出されるのが特徴です。一般的にウイスキー原酒は樽の中で3〜10年以上熟成されます。熟成後、加水してアルコール度数を40〜45度程度に調整して出荷となります。
ちなみに【ジャパニーズウイスキー】の定義は、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)によると、日本国内で麹を除いた大麦麦芽か天然由来の酵素で穀物を糖化して発酵、アルコール分95%未満で蒸留、木製の樽か容器で2年以上熟成したものを、作業国を問わずアルコール分40%以上でブレンドして瓶詰したものとされています。
ウイスキーが出来る工程
ここからは宮城峡蒸留所の様子とともにお伝えいたします。
【原料】
発芽した大麦は麦芽(モルト)と呼びます。
【乾燥】
このピートの役割は重要でウイスキーのスモーキーさに影響します。
【糖化】
粉砕したモルトと仕込水(新川の水)を糖化層で麦汁をつくります。
麦汁→ビールによく似た液体です。
【蒸留】
1回目の蒸留ではアルコール分約24%で雑味が多いのでもう一度蒸留します。
ちなみに、しめ縄は神聖なものとして祀っている竹鶴の心です。
2回目の蒸留で約65%のアルコールとなり、加水し樽に詰めます。
ちなみに宮城峡のポットスチルは首の付け根が丸く膨らんだバルジ型です。
【樽】
一言で樽と言っても、大きさや素材、焼き方、使用年数等によって熟成内容が変わってきます。
他のウイスキーの話になってしまいますが、マッカランでは自社で製作した樽をシェリー酒の醸造業者に2~3年無償で貸し出した後に自社で使用するというこだわりがあります。
【熟成】
ウイスキーの熟成には長い年月がかかります。 熟成期間の間に、年間2~3%が蒸発(エンジェルズシェア)します。
【完成】
樽の種類・熟成期間・熟成場所によって原酒の仕上がりが変わるようです。それら複数を合わせて配合する場合や、単一の樽のみを瓶詰めする場合、グレーンウイスキーと配合する場合と様々です。 それぞれの特徴を活かして製品になり世に出されていきます。
ニッカウヰスキーの特徴
ニッカウヰスキーの創業者は日本のウイスキーの父とも呼ばれる竹鶴政孝氏です。NHKの連続テレビ小説『マッサン』のモデルになった人物です。
余市蒸留所の特徴
余市蒸留所は1934年(昭和9年)に完成しましたが、ウイスキー・ブランデーの製造開始は1936年(昭和11年)になります。
スコットランドの『ハイランド』に気候が似たこの地で力強い原酒作りを役割としています。 ポットスチルにも大きな違いがあり余市では形状はストレートヘッド型、アームは下向き、石炭直火蒸溜で特徴としては力強く薫り高いモルトが生まれます。
宮城峡蒸留所の特徴
宮城峡蒸留所は1969年(昭和44年)に完成しました。北海道・余市で第一の蒸溜所をスタートさせてから、約30年の年月が経過しました。新たな挑戦と理想の追求の為に強いこだわりで建設されました。
宮城峡は余市のポットスチルとは異なり、形状はバルジ型、アームは上向き、蒸気間接蒸溜で特徴は華やかで柔らかなモルトが生まれます。
「異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念を抱く竹鶴にとって、2つの蒸溜所は夢を実現するためにどうしても必要だったようです。
この2つの蒸留所がニッカウヰスキーの最大の特徴だと思います。 また、竹鶴政孝氏の全てに対しての強いこだわりも大きいです。
ウイスキーのビジネスについて
世界的なウイスキーブームで各蒸留所はさぞかし絶好調と思いがちですが、様々な課題もあるようです。 一番の理由は生産量の調整ができなからだそうです。
先の項目でもお伝えした通りウイスキーの熟成期間は3~10年以上が一般的です。つまりは、今瓶詰めされている原酒は先輩方が代々受け継いできた貴重な遺産という事になります。
今だけの事を考えて全て原酒を使い切ってしまうと、将来的に40年熟成や、50年といった製品を世に出せなくなってしまいます。
今蒸留している原酒は次の世代の為の工程という事になります。 現在市場に出回っている量が少ないのにはそんな事情があるからです。
ちなみに、サントリーでは上場しない理由のひとつに『酒を作ってから世に送り出すまでに、すごく長い時間がかかる。株主に左右されたくない。』というエピソードがあるくらいです。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回はニッカウヰスキーの特徴についてお伝えしました。 見学の工程では非公開部分が多かったグレーンウイスキー(穀物を使用した連続蒸留)が最新のコンピュータ制御によって管理されていたりと意外な発見もありました。
また、通常の見学とは異なるキーモルトティスティングセミナーやマイウイスキー塾と言われるオーナーズカスク制度もあり、機会があれば参加してみたいです。 ウイスキー作りの背景を知ると普段のお酒がより楽しくなります。
かんてい局須賀川店はそんな酒好きがいるお店です。 目指せ、国内蒸留所見学制覇!
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